東京高等裁判所 昭和52年(ネ)2847号 判決
控訴人房枝の訴えの変更による請求のうち身体傷害を理由とする治療費と慰謝料の支払いを求める部分につき、被控訴人は、右部分と従前の占有回収の訴えとは請求の基礎を異にするから、右部分についての訴えの変更は許されない旨主張する。
控訴人房枝は当初、原判決別紙物件目録記載の建物(以下本件建物という)の占有を侵奪されたとして、その引渡しを求めて占有回収の訴えを提起したのであるがその後、右侵奪によって損害をも被っているとして、本件建物の引渡しとともに、本件建物において営業を継続できなくなったために一か月一五万円の得べかりし利益を失ったことによる損害と、更に右侵奪の際、暴行を加えられその結果傷害を受けたとして、その治療費八万三四九円、慰謝料七七万五、〇〇〇円をも併せて請求する旨請求を変更するものであるところ、右損害賠償請求のうち前者は、本件建物の占有を侵奪されたことを原因とするものであるから、占有回収の訴えの一部として請求の趣旨を拡張するものであるが、後者は、本件建物の侵奪の際の暴行による傷害を原因としていて、その損害は占有回収の訴えによって賠償を求め得る損害とはいい得ないので、一般の不法行為に基づく損害賠償の請求に当たるというべきであるけれども、その事実関係は本件建物の侵奪行為を基盤とするものであるから、従前の占有回収の訴えと請求の基礎を同じくするものといわねばならず、右請求を追加的に変更する旨の控訴人房枝の請求の変更の申立ては、適法なものとして許されるべきである。
(園田 田畑 丹野)